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此処はポケモン擬人化軍隊企画、『御旗のもとに』参加キャラの専用ページです。 設置H20.2.29
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「…………………何をしているんだ」
「……何でも無いわよっ」

ゴミ箱にゴミを捨てた姿勢のまま、傍の壁に当てていた頭を上げて呆れた様子のルクス少尉を見上げた。
外出から戻って来たばかりのルクス少尉からは、冷たい外の空気がまだ漂っている。
「おかえりなさい、ルクス少尉」
「…………あぁ。………それより何があったんだ」
呆れを含んだ視線でルクス少尉が眺めるのは、この時間、普段なら軽くお茶や軽食を摘みに来る人位しか訪れない食堂の、この過密っぷり。
「………陸三の部屋がもぬけの殻の上に」
「あ、暖房入らなかったでしょ」
「………そうだ」
とりあえず座りましょ、とルクス少尉の袖を引いて、あたしがさっきまで座っていたテーブルに戻る。
さっき飲み干したカフェオレのカップは、底に澱を残して乾き掛けていた。
「ルクス少尉も温かいの飲まない?外寒かったでしょ?」
コーヒーが良い?紅茶もあるけど…とドリンクバーのスペースを示す。
「………コーヒーで」
「りょーかい」

ルクス少尉に片手を挙げて答え、あたしは自分の空のカップを持ってコーヒーサーバに向かう。
カウンターからルクス少尉の分のカップを受け取って、サーバから温かいコーヒーを注いで自分の分も淹れた。
自分の分はブラックにしようか如何か悩んで、結局はさっきと同じ、ミルクと砂糖を足してカフェオレにしてテーブルに戻る。

「お待たせ」
「……ああ」
寒い中お疲れ様、とルクス少尉の前にコーヒーのカップを置いて隣に座る。
「…………で」
カップに口を付けて、ルクス少尉が本題を話せと視線で促してくる。
ん。と自分のカフェオレを一口飲んで、ルクス少尉を見上げて口を開く。
……さて、何処から説明しようか。
「んー…と…。ルクス少尉が出掛けた後…暫くしてからかな。陸軍棟だけ急に暖房が切れちゃって」
「…………で?」
「うん。経理課とか陸一、二の暖房は比較的早く復旧したんだけどねー。
 点検してたら陸三の部屋近辺の暖房動かしてる配電盤が老朽化してるってんで、今業者から部品取り寄せてる所なのよ」
「……………要するに」
「陸三中隊の全執務室は暖房が入りません」
きっぱり答えればルクス少尉は無言でコーヒーに口を付ける。
一見普段と変わらない無表情に見えるけど……。
「ルクスしょーいー。幾ら『莫迦らしい』ってたって…」
「………何も言ってないだろう」
「言ってるじゃない。ほらほら眉間に皺~」
伸びた前髪の下、寄せられた眉が雄弁に語ってる。
「………それで…この食堂がやけに混んでいるのは」
「うん。唯でさえ此処の冬は寒いのに、『暖房の入らない部屋で作業出来るかー!!』……って、皆談話室とかに避難してる。
 あ、でもね、持ち出しても大丈夫な作業は暖房の生きてる資料室とか、空いてる会議室とかで処理してから来てるから!」
皆サボってた訳じゃないのよ?とルクス少尉の顔を覗き込めば、嘆息が上から降ってくる。
「………他の奴等は如何した」
「皆一通り仕事終わらせたトコでアカガネ少尉が、「12月限定のケーキバイキング食べに行きたい!!」って発案して、軽食もメニューにあるからってライス中尉とリク少尉と一緒に出掛けてったわよ」
ちびちびとカフェオレに口を付けつつ、無言で目を眇めてコーヒーを啜るルクス少尉を横目で窺う。
「…………何時直るんだ」
「んー…夕方までには、って事だったけれど」
また顰められたルクス少尉の眉間に、心配になってルクス少尉の袖を引っ張る。
「……無理に暖房のない部屋で仕事しないでね?ルクス少尉の事だから、急ぎの仕事は片付けて出掛けたんでしょう?」
「…………まぁな。
 ……………さっきから何をしてるんだお前は」
それでも「ルクス少尉ならやりかねん」と袖を掴んでいたら呆れた顔で溜息吐かれた。
「……だって」
「…………………とりあえず放せ」
しぶしぶルクス少尉の袖を放せば、あたしの前に空のカップが押しやられてきて首を傾げる。
「………コーヒー」
「?」
「…………もう一杯頼めるか」
「! うん」

もう少し。少なくてもコーヒー一杯を飲む位は此処に居てくれるらしい。
言外に伝えられた言葉に頬を緩めて席を立つ。

「…………それにしても」
「ん?なぁにルクス少尉」
コーヒーのお代わりを手渡せば、怪訝そうな視線でルクス少尉が問う。
「…………お前もアカガネ達と一緒に出掛ければよかっただろう」
彼からしてみれば素朴な疑問に、もゆもゆと微妙に笑って答える。


―― そんなの、決まってるじゃない。


「そんなに沢山ケーキ食べたい気分じゃなかったからねー」


―― ケーキを食べに行くより、ルクス少尉が帰ってくるのを待つ方を選んだだけ。
―― だって



『08.君の傍はどうしようもなく心地よくて、だから他の誰にも、』

邪魔されたくなかったなんて、酷い我儘

―― ……あぁ、本当どうしようもない。




お題:【募る想い-10】
紺碧日和:http://seirandusk.web.fc2.com/

+++++

ルクスさんと、お名前だけですがライスさん、アカガネさん、リク君をお借りしました!

そしてもう毎度毎度の事ですが、ルクスさんをお借りし過ぎです自分ジチョ(ry…
陸三の皆さんには寒い思いさせて御免なさい…orz
ほのぼの(?)させたかったと言いますか…ただお隣座ってコーヒー淹れたかっただけと言いますか…うにゃうにゃ。
ええまあ…お題の通りです、ハイ。
………大人しく樹海逝って来ますorz

今回ディアのなりきりで書くには大変こっ恥ずかしい文面だったので…心理描写が殆ど無いです…。
ディア視点ではあるけれど…なりきりでも一人称でもないですね…orz
その分ディアの独白を続きからにぎゅむっと詰め込んどきました。
冒頭の十数分前のディアの独白です。
……ちょっと…此れを読むと上記のディアさんがどんだけ浮かれてるんだかが解ります…orz

湯気の薄くなった手元のカップは、もう手を温めるには物足りない。
それでもちびちびとカフェオレのカップを口に運びつつ見渡した食堂は、普段なら決して混んでいる時間では無いのに…今日の食堂は何時に無く混んでいる。
理由を知っているからこの混雑ぶりに不満の溜息を漏らしたりはしないが。
それでも同じ理由で今尚過密しているだろう談話室と比べるなら…広い分食堂の方がマシ。
……談話室と比べると広い分、暖房の利きがちょっと弱いけど。
そして入り口近くを陣取っているから、暖をとっているカフェオレのカップが空になると物寂しくなる。
カフェオレのお供にちりぽり摘んでいたクッキーの小袋も空になり、物寂しさは倍。

コーヒーサーバにおかわりを取りに行こうか。
それでも食堂の入り口からは離れ難い。


―― だって、何時通り掛るか判らないし


食堂には寄らないかもしれない。
あの人口過密の談話室には行かないかもしれないけど。
帰ってくるのは、暖房が直った後かもしれない。
そのまま暖房が付かないのも気にしないで、部屋で仕事に取り掛かっているのかもしれない。

溜息吐き吐き背中を丸めて、クッキーの小袋を細く折り畳んでぐるりとねじって固結び。
食堂の出入り口付近のゴミ箱に、このまま放り投げてしまおうかと思ったけれど。
……私室ならまだしも、公共の場でやっちゃ駄目だろう。
どよんとした溜息一つ。
ああ、これでどれだけの幸せが逃げていったんだか。
のろりのろりと歩いて、大人しくゴミ箱の真上からクッキーの空袋を溜息と一緒に落としたら…なんだか幸せすら一緒に捨てたみたいに思えて。

項垂れた頭が、ごつりと正面の壁に当たる。

馬鹿かなぁ。
馬鹿だよなぁ。

来るか来ないかも判らないのに、食堂のドアが開く度に、期待して、溜息吐いて。

―― ああ、うん、それなのに。



「…………………何をしているんだ」



呆れを含んで淡々と降る声に「……何でも無いわよっ」と顔を上げても、声は緩む。
あからさまにはっきり聞こえた、しょっちゅう聞いてる呆れた溜息にすら耳が火照る。

馬鹿かなぁ。
馬鹿だよなぁ。

たった一言掛けられただけなのに、こんなに簡単に嬉しくなるなんて。
(別に待ってた訳じゃないんだから)
(耳が赤いのは、壁に頭を当てているのを見られた所為なんだから)
何時も、普段言ってるのと、同じ様な調子の声が出るように自分に言い聞かせて、随分高い所で『呆れ』を表情に出した顔を見上げる。


ねぇ。
ちゃんと普段と同じ声に聞こえてる?
変じゃない?可笑しくない?


「―― おかえりなさい」
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